相続税評価額の概算を自分で計算する方法
こんにちは、税理士の武田です。
最近相続税の申告期限を過ぎてからのご依頼を受けるケースが多くなっております。
申告期限を過ぎた後の申告は「延滞税」や「無申告加算税」などのペナルティが課されるだけでなく「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」など相続税を大幅に軽減できる措置を適用することもできず、結果として必要以上に税金を収める必要が生じてしまいます。
そこで、今回は「相続税の概算を自分で計算する」を目標に相続税の概算計算方法をご案内致します。
この記事はこんな人におすすめ!
- 相続税がかかるか自分で判断したい人
- 路線価を使って簡便的に土地の評価をしたい人
- 相続税手続き全般についての知識を身に着けたい人
相続財産の把握
相続税申告書の提出にあたり、まず初めにすべきことは、「相続税の申告書を提出する必要があるか」の判断をすることです。
相続財産が基礎控除の範囲内であれば、申告書の提出は不要になりまので、まず初めに相続財産がどれほどあるのかをご自身で把握します。
相続税申告が必要?Q&A3選
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税務署から相続に関するお尋ねが届かない
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お尋ねが届かないからといって、相続税申告書を提出する必要がないとは限りません。
税務署はあくまで不動産の登記簿謄本や、過去の申告書から相続税の申告義務がありそうな方にお尋ねを送っているだけで、預貯金や株式など全財産を把握しているわけではありません。
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毎年届く固定資産税納税通知書に家屋の明細だけが記載されている
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土地をお寺などから借りているケース。つまり、借地権を所有している場合、固定資産納税通知書には家屋のみ記載されます。
借地権を所有している場合、申告の有無を判断する際は借地権部分も含めての判断が必要です。
もし借地権の存在が分からない場合でも、固定資産税納税通知書に家屋のみ記載されている場合には、借地権を所有している場合がありますので注意しましょう。
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相続開始時点の預貯金で判断
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相続が近づくと口座の凍結を恐れて現金を多額に出金するケースが多々ありますが、いくら相続前に現金を出金しても相続時点で残っていた現金についても相続財産となります。
また、生活費の残りをコツコツ貯金した配偶者名義の預金なども名義預金に該当し、相続財産になるケースもあります。
土地の相続税評価額を簡便計算
一般社団法人資産評価システム研究センターの提供している全国地価マップを活用するのがおすすめです。サイト内の相続税路線価等にてご自身の所有している不動産の住所を入力してみましょう。
ご自宅の近くの道路に「200C」や「320D」と表示がされていると思いますが、これが路線価となります。路線価に土地の㎡を乗ずることによって簡易的な土地の評価額を計算することができます。
土地を簡便計算する方法
- 被相続人が亡くなった日の年度を選択
相続(令5) - ご自宅の近くの道路の路線価を確認
830B - ご自身が所有する不動産の㎡を路線価に乗ずる
例えば50㎡所有していた場合
830,000×50㎡=41,500,000円
家屋の相続税評価額を簡便計算
固定資産納税通知書又は評価証明書の価格を確認する。
家屋の評価額を簡便計算する方法
- 固定資産納税通知書の下段にある家屋欄の「価格」を確認
6,000,000円
マンションなど区分所有建物の場合は「価格」は建物全体の評価額が記載されているため、各部屋ごとの評価額はその一つ右側の表記「課税標準額」にて評価額を確認しましょう。
預貯金・有価証券の相続税評価額を簡便計算
相続開始時点の残高を確認してみましょう。相続税の申告はあくまでも亡くなった時点の残高で申告書を作成します。
今現在の残高ではなく、相続開始時点の残高を通帳で確認し、集計してみましょう。
ネット銀行やネット証券の口座をお持ちの方は、残された相続人にもその存在が分かるようにあらかじめ口座の情報を伝えておくか、メモなどを残しておきましょう。
生命保険の相続税評価額を簡便計算
保険証券から受取金額を確認してみましょう。
もし、生命保険契約があるか分からない場合は「生命保険契約照会精度」を活用して契約の有無を判断しましょう。
生命保険の受取人が配偶者になっている場合や、両親になっている場合は相続手続き上不利になるケースが多いので、いずれかのタイミングで受取人の変更を検討してみましょう。
相続税の基礎控除を計算する
相続税の基礎控除は以下の計算式で求めることができます。
基礎控除
- 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
関連記事:
相続人の人数によって基礎控除は以下のとおり計算できます。
相続人が子供2人の場合は基礎控除4,200万円
相続人が配偶者と子供3人の場合は基礎控除4,800万円
財産の合計額と基礎控除を比較する
これまで簡便計算で求めてきた「土地」「家屋」「預貯金」「有価証券」「生命保険」などの合計額と基礎控除を比較します。
財産の合計額が基礎控除以下であれば相続税の申告は不要なので、税務署に提出する書類は不要と判断しましょう。
まとめ
今回は相続税の概算評価をご自身で計算できるようコンパクトにまとめてみました。
評価額の概算をあらかじめ計算しておくことで相続手続きにもスムーズに対応できるようになると思います。
それでは今回の内容をおさらいしましょう
相続税の概算を自分で計算する方法
- 土地の相続税評価額を簡便計算
- 家屋の相続税評価額を簡便計算
- 預貯金・有価証券の相続税評価額を簡便計算
- 生命保険の相続税評価額を簡便計算
- 相続税の基礎控除を計算する
- 財産の合計額と基礎控除を比較する
相続税の試算についてご不明点があればいつでもご連絡ください。
まずは相続に関係することをひとつずつ始めてみませんか。
以上最後までお読みいただきありがとうございました。
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